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『雲霧五人男(雲霧仁左衛門)〜因果小僧六之助殺し』あらすじ

(くもきりごにんおとこ・くもきりにざえもん〜いんがこぞうろくのすけころし)


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【解説】
 甲州文殊ヶ岳(七面山のこともある)を根城にする盗賊の頭領、雲霧仁左衛門と五人の手下、雲霧五人男(木鼠吉五郎、因果小僧六之助、洲走り熊五郎、山猫三次、おさらば伝次)が主人公になる連続物。仁左衛門は堅気になろうと手下どもに大金を分け与え、散り散りに別れる。しかしいったん始めた悪行はやめられない。因果小僧六之助は洲走り熊五郎と謀り、近江屋という質両替商の女房と番頭から300両の金を奪って殺害。しばらく逃走したのち、今は吉原の桔梗屋という遊郭に入り浸っている。そこで出会ったのが…。
【あらすじ】
 享保年間の話。吉原江戸町二丁目に桔梗屋という女郎屋があった。主の五郎兵衛は遊女や奉公人への面倒見が良く評判がよい。店も繁盛している。二階の座敷には、世間に名をとどろかす盗賊、雲霧五人男の中の一人、因果小僧六之助がいる。男っぷりが良い美男子だが背中に石塔、塔婆に女の生首というおどろおどろしい彫物があり、この名がある。6年前、盗賊の頭、雲霧仁左衛門は真っ当な暮らしがしたいと子分たちに一人あたり2千両という大金を与え、皆散り散りに別れる。しかし六之助は遊興であっという間にこの金を使ってしまう。今は松前という花魁にぞっこんで、三日にあけず、この桔梗屋に通っている。
 ある日、六之助は桔梗屋五郎兵衛の顔を見て驚いた。彼こそは6年前に別れたかつての頭、仁左衛門であった。
 本所小梅の桔梗屋の寮で2人きり再会し、互いの無事を喜び合い、仲間の消息について語り合う。六之助はまだ昔の稼業を忘れられないと言う。仁左衛門は六之助に堅気の商売は出来ないだろうから廓の主になるよう勧める。仁左衛門の金で女郎屋を買い取り、新桔梗屋という名を付ける。六之助は名を「六右衛門」と改め、松前を女房にする。
 店は評判がよく繁盛し、六之助は仁左衛門に感謝する。酒も飲まずに、最初のうちは慎ましい暮らしをしていた。しかし廓仲間に誘われたのがきっかけで再びバクチの世界にのめり込み、多額の借金を抱える。仁左衛門に相談し、店にいい女郎を揃えるためと50両の金を借りるが、これもあっという間にバクチで擦ってしまう。六之助は再び仁左衛門の元を訪ね、バクチで金を失ったことを告白する。もう金は貸さないという仁左衛門だが、六之助は過去の件を持ち出そうとし、半ば強請で金をまた借りる。それから仁左衛門に諭されるものの、金の無心を繰り返す。
 そんなある日、仁左衛門、六之助2人で川崎大師へ詣でる事になった。2人歩いて川崎へと向かう。高輪で茶屋の茶屋へ寄り、夜、鈴ヶ森を通りかかる。仁左衛門はスラリと道中差しを抜き、六之助の腹を切りつける。「この雲霧仁左衛門め、吉原桔梗屋五郎兵衛…」、今際の際に六之助は声を上げる。仁左衛門は暗闇の中へ姿を消すが、この鈴ヶ森での出来事を地蔵の陰から2人の乞食が見ており役人に届ける。調べてみると、背中の彫り物から殺されたのは雲霧五人男の一人、因果小僧の六之助であることが判明する。乞食の証言から吉原桔梗屋の主人が、雲霧仁左衛門に違いない。南町奉行所の役人衆は桔梗屋へと向かう。




参考口演:八代目一龍斎貞山

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