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『雲霧五人男(雲霧仁左衛門)〜木鼠吉五郎と洲走り熊五郎』あらすじ

(くもきりごにんおとこ・くもきりにざえもん〜きねずみきちごろうとすばしりくまごろう)


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【解説】
 甲州文殊ヶ岳(七面山のこともある)を根城にする盗賊の頭領、雲霧仁左衛門と五人の手下、雲霧五人男(木鼠吉五郎、因果小僧六之助、洲走り熊五郎、山猫三次、おさらば伝次)が主人公になる連続物。仁左衛門は堅気になろうと手下どもに大金を分け与え、散り散りに別れる。木鼠吉五郎は日本橋の呉服商の主人になり、店は繁盛するが、彼の前に現れたのが洲走り熊五郎であった。仲間と別れた後、遊興で金はすっかり使ってしまったという。

【あらすじ】
 享保年間の冬の話。甲州巨摩郡(こまごおり)文殊ヶ岳で30〜40人の手下を集めたのが、世間を大いに荒らしまわっていた盗賊の頭、雲霧仁左衛門である。仁左衛門はそろそろ足を洗おうと思っている。堅気になって畳の上で往生してくれ、仁左衛門は皆を説得し別れる。手下の中でも主だった5人、雲霧五人男には2000両ずつの金が分け与えられる。
 文殊ヶ岳をくだった雲霧五人男の中の一人、木鼠の吉五郎。元は長州の浪人で剣術、柔術の達人である。繁華な場所の方がかえってまだ目立たないと、吉兵衛と名を変え、日本橋の木原店(きわらだな)、現在の高島屋のある付近に甲州屋という呉服屋を開く。店は評判になって、お大名から注文がくるようになるまでに繁盛する。
 5年ほど経ったある冬の日の夕刻。吉五郎は一石橋で一人の男とすれ違う。顔をみて驚いた。かつての雲霧五人男の中の一人、弟分の洲走りの熊五郎である。葭簀の陰に隠れていた、貧しい身なりの熊五郎に声を掛ける。文殊ヶ岳で別れた後上方へ向かったが、受け取った2000両は、酒に女にバクチ、さらに米相場に費やし、すべて使ってしまった、その後は江戸に戻り大名や旗本の中間部屋を渡り歩いていると言う。吉五郎は、自分の店で働かないかといい金を渡す。3日経って、甲州屋の前に田舎者の格好をした熊五郎が現れ、旦那様の甥御だと言い、店に上がり込む。急ごしらえで佐吉という名を付け、叔父と甥の再会を喜ぶふりをし、店の者を信じ込ませる。熊五郎は大酒飲みで酒癖が悪い。女とバクチは良いが、酒だけは駄目だと吉五郎は念を押す。
 3ヶ月ほどが経った。最初のうちは真面目に働いていた熊五郎だが、何事もない日々が退屈でしょうがない。湯屋へいくふりをして、酒屋に入り1合、2合と飲む。吉五郎から3両の金を貰うと一気に2升の酒を飲みベロンベロンに酔っぱらう。夜中、店に戻り閉まっている戸を拳でドンドンと叩く。店に入ると何やら喚くが、甲州弁を使っていたはずの佐吉こと熊五郎が江戸弁を使っており、店の者は不思議に思う。
 こんなことを何度か繰り返す。番頭は堪忍してくださいと庇うが、とうとう吉五郎の堪忍袋の緒が切れた。このままでは、自分の過去がばれ、さらには雲霧仁左衛門や他のかつての仲間たちにも迷惑を掛けるかも知れない。
 吉五郎は熊五郎を洲崎の弁天へ連れ出し斬り殺そうとする。熊五郎はどうかもう一度だけ助けて下さいと言う。産まれた時は別々でも死ぬときは一緒に死のうと誓った兄弟分である。斬ることは出来ない。結局、熊五郎を本郷の質両替商、近江屋に飯炊き奉公をさせるが、この近江屋でも熊五郎はとんでもない騒動を起こすことになる。
 その後、2人ともお召し捕りになり、鈴ヶ森の刑場の露と消えたという。




参考口演:六代目神田伯龍

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