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『レ・ミゼラブル〜ファンティーヌ』あらすじ

(れ・みぜらぶる〜ふぁんてぃーぬ)



【解説】
 『レ・ミゼラブル』は1862年にフランスの作家、ヴィクトル・ユーゴーが執筆した小説。主人公のジャン・バルジャンは貧しさのあまり1片のパンを盗んだが、この罪で19年もの間刑務所にに服役する。すっかり心が荒んでいた彼だが、ミリエル大司教の気高い魂に触れ、すっかり改心する。マドレーヌという名で暮して事業で成功し、ついには市長にまで昇り詰める。この作品ではジャン・バルジャンの生涯を描くとともに、当時の不安定な社会情勢、貧困に苦しむ民衆の生活まで余すことなく書き表している。

【あらすじ】
 革命前夜のフランスは貧富の格差が拡大した時代である。パリの近くのモンフィルネイユという町の一軒の宿屋に、幼い女の子を連れ貧しい身なりをした一人の女性が訪ねて来た。女性の名はファンティーヌ、女の子はコゼットといい3歳になる。ファンティーヌは夫が亡くなり、メールの町へ帰ろうとしている途中だと語るが、実は若い男性にもてあそばれ、子供が出来ると捨てられたのであった。両親はすでに亡くなっており、知り合いの叔母さんの家へ下宿して工場へ勤めようと思っているという。仕事はきついが給料は良いと聞いている。そこで、ここで子供を預かってもらえないかと、ファンティーヌは宿屋の女主人に頼み込む。最初のうちは渋っていた女主人だが、ファンティーヌが月に7フラン払うと言うと、手放しで家で預かるという。ファンティーヌの所持金は80フラン、そのうち半年分の預かり賃の42フランを女主人に払い、さらに手間賃として15フランを女主人に支払った。「お母さんは遠くへ行くから」、ファンティーヌと娘コゼットは互いに涙を流して別れる。
 ファンティーヌの勤める工場を経営しているのは市長のマドレーヌであった。ファンティーヌは懸命に働いて、トントン拍子に出世していく。これに嫉妬したのが同僚たちで、彼女の身の上について調べてみる。すると子供がいることが分かり、家族はいないと書いていた経歴は偽りであることが分かる。ファンティーヌには退職金50フランが支払われ、工場を解雇される。
 ファンテーヌは途方に暮れる。しばらくは針仕事でいくらかの収入を得ていたが、そのうちにコゼットを預けた宿屋から手紙がくる。物価高で金が足りないといい、あと40フラン払わないとコゼットを家から追い出すと書かれてあった。困り果てたファンティーヌが街中をフラフラ歩くと一人の男が声を掛けてきて、歯を1本20フランで買うと言う。下宿へ戻ったファンティーヌは、口を血だらけにして自分の歯を抜いた。
 また数日してまた、コゼットを預けた宿屋から手紙が届く。子供が病気なので100フランを至急送れという。こうして、ファンティーヌは、夜に身体を売る女へと身を落すのであった。
 ある日、街角で客待ちをしていると、一人の酔っぱらいの男と喧嘩になった。警官が来ると男は逃げ、ファンティーヌひとりが交番へと連れて行かれれる。ジャベール警部の取り調べで、ファンティーヌは6ヶ月間の拘留となるところだったが、ここで一人の恰幅のいい紳士が現れる。彼はマドレーヌ市長であった。自分をクビにした男に唾を吐きかけるファンティーヌ。私が身を売る女になったのもこの男のせいだ。マドレーヌ市長は彼女を放免するようジャベール警部に要求する。警部は「警官の権限で彼女を拘留する」と反発するが、マドレーヌ市長は「君をどうするかは市長の権限だ」と言って返す。結局ファンティーヌは釈放された。マドレーヌ市長の温情に涙を流して喜ぶファンティーヌ。
 これからマドレーヌ市長は何かにつけ、ファンティーヌとコゼットの面倒を見る。このマドレーヌ市長は、実はジャンバルジャンという名で過去に犯罪を犯していた。ジャベール警部は市長を執拗に追いかけるのだが、その話は別の場所で。




参考口演:神田こなぎ

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