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『大名花屋』あらすじ

(だいみょうはなや)




【解説】
 花屋喜兵衛という大きな商家の町人がおり、夫婦の間にはお花という一人娘がいる。また店には伝助という男が飯炊きで働いていた。ある年の暮れ、喜兵衛宅が火事になり、財産一切を失いお花は大火傷を負う。そんな一家を伝助は必死になって支えるのであった。いつしかお花は伝助に恋をし、また喜兵衛夫婦も伝助を婿に迎えたいと思う。そして伝助の意外な正体が明かされる…。

【解説】
 本郷二丁目に花屋喜兵衛という大名諸家へ出入りする大商人がいた。夫婦の間にはお花という一人娘がいる。3月のある日のこと、お花は飯炊きの伝助を連れて浅草の観音様までお詣りにいく。伝助は25歳の筋骨たくましい男で、数年前、冬の雪の降る日に持病の癪(しゃく)で苦しんでいるところを喜兵衛が助けて、そのまま花屋の飯炊きとして働いてる。浅草の茶屋の前には美しいお花目当てに男たちが群がる。そこへ酔っぱらった侍が現れ、お花に絡んでくる。伝助はこの侍をいともたやすく大地に放り投げてしまった。
 ある日、喜兵衛はお花に縁談を持ちかける。相手は湯島天神下の近江屋勘兵衛の倅、秀之助という男だという。伝助はろくでもない奴だと反対するが、父親の意向で話はまとまり、祝言は翌年2月に決まる。
 その年の暮れ喜兵衛宅は火事になる。倒れた柱の下になったお花を伝助は助け出す。お花は命は取り留めたが、半身大火傷を負う。またこの火事で喜兵衛は全ての財産を失った。喜兵衛の一家は近江屋の家で世話になるが、5日ほど経って出て行って欲しいと言われる。冷酷な態度に怒った伝助は秀之助に説教をするとともに散々な目に遭わす。
 伝助が借りておいた長屋があるということで、喜兵衛一家はそこに移ることになった。伝助は喜兵衛夫婦とお花の世話を懸命にし、夫婦もそんな伝助の働きぶりに感心する。そのうちに、喜兵衛は伝助をお花の婿にしようと考えるようになった。実はお花も伝助への恋心があった。喜兵衛はお花の婿になってくれるよう伝助に頼むが、どういう訳か伝助は家を出て行ってしまい、それからしばらく戻らない。やはり嫌気が差したのではないかと喜兵衛と女房は思う。
 数日経って、大名の松平右京太夫の用人で山田孝右衛門という武士がやってきた。持ってきた風呂敷には千両という金が入っている。実は伝助の正体は、右京太夫の子息で伝之丞という名であるという。右京太夫には2人の息子がいるが、伝之丞は今は亡き奥方から出生なさった若君であった。そこで現在の奥方に遠慮をして、家を出奔してしまったのだという。ところが、先日この伝之丞が父親である右京太夫を訪ねてきた。お花のいう娘と縁組をしたいと申し出、右京太夫はこれを快く認めた。そこで今日結納金として金千両を持参したと話す。伝助は二代目花屋喜兵衛と名を改め、親孝行をし、末永くお花と2人仲睦まじく暮らしたという。





参考口演:神田陽子

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