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『ジャンヌ・ダルク』あらすじ

(じゃんぬ・だるく)



【解説】
 神田派の方がよく掛ける読み物である。ジャンヌ・ダルクは1412年ころ、フランス東部で農夫の娘として生まれる。フランスはイングランドとの百年戦争の真っただ中で苦戦の連続であった。神の啓示を受けたジャンヌ・ダルクはフランス軍に従軍する。1429年にはイングランドはオルレアンの街を包囲するが、ジャンヌ・ダルクの伝説的な目覚ましい活躍により街を解放するのであった。

【あらすじ】
 15世紀のヨーロッパというと百年戦争と世の中が乱れた時代であった。当時、フランスは王国であったが王様は病気がちで皇太子はまた歳が若く、皇族たちは派閥をつくってはその地位を狙っていた。それに付け込んだのがイギリスである。なにかに理屈を付けて軍隊をフランスに派遣して、オルレアンの城を占領しようと企てていた。
 そのころボクリールという人口3000人あまりの小さな田舎の村にひとりの少女が訪れた。この村の城には700人の守備隊が立てこもっていて、隊長の名前をロベールという。1月の末のこと、ひとりの百姓の女に付き添われた少女が城門から声を掛ける。「お願いでございます、隊長さんに会わせてくださいまし」。しかし門番に「お前みたいな小娘になにができる」と追い返されてしまう。それでも少女は毎日毎日訪れる。
 ある日のこと、今日は少女はロレーヌ侯爵からの紹介状をもってくる。紹介状には「この少女には不思議な霊感が備わっている。馬を1頭と兵を貸し与えよ」と書いてある。ロレーヌ侯爵というば王子の叔父上にあたる方である。致し方ないので、隊長は娘と会う。娘の名はジャンヌ・ダルクという。話を聞くとオルレアンの軍隊はニシンの大群に責められているという。魚に責められているとはこの娘は異常者ではないか。しかし部下から聞くとイギリス軍はニシンの樽詰めを山積みにし、オルレアンの軍は相当な痛手をこうむっているという。ジャンヌの予言は当たった。隊長も信用することにし、馬と兵とを貸し与える。ジャンヌ・ダルクは馬に乗り、6人の従者をしたがえ、11日目にはシオンの街に到着する。
 ジャンヌ・ダルク一行は、シャルル殿下と謁見したいという。叔父のロレーヌ侯爵からの推薦状を携えているが、重臣たちはそんな小娘は信用できないという。神託を受けたというのは本当か。大広間にジャンヌ・ダルクを招き入れる。王子は彼女の手で王冠を自分の頭に載せて貰いたいという。ジャンヌは王子の顔を見ると後ずさりする。居並ぶ兵隊の顔をひとりひとり眺め、一番隅っこにいたみすぼらしい一兵卒の兵隊を前までくると、さっと跪く。「王子様、私は神様の思し召しによりフランス王国の危機を救いにまいりました」。ジャンヌは彼こそ本当の王子だと見抜いたのだ。この者こそまさに神の使いに違いない。これからジャンヌ一行の大歓迎会が催される。
 1429年2月24日の朝、銀の甲冑を身に付け、左の腰には1メートルにもなる剣を提げ、王子から賜った旗を高々と掲げ、パッパッパッと馬に乗って隊列の前に登場する総司令官のジャンヌ・ダルク。「それでは私に続きなさい」。第1、第2、第3の砦を次々に打ち破る。急に強くなったフランス軍に驚くイギリス軍の将兵。第4の砦の前まで来たジャンヌ。イギリスは次々と矢を放つがこれが1本も当たらない。「俺たちにはジャンヌ様がついている」、勇気百倍のフランス兵は次々と砦を打ち破り、ついに10番目の砦まで占領した。
 次の第11の砦は難攻不落ということでジャンヌたちは軍議を開く。ジャンヌは、ひとりで砦に登り上に旗を立てる、敵は気を取られて彼女ひとりを攻めてくる、その隙をついて兵隊たちには正面から総攻撃をくわえてもらいたいと語る。ジャンヌ・ダルクは梯子で砦に登る。これを見たイギリス軍の隊長は、ひとりの兵士に彼女を射落とせと命じる。イギリス軍でも随一という弓の使い手であるその兵士、名はナスノ・ヨイチ。矢を放つとジャンヌの肩先に突き刺さる。さすがのジャンヌも真っ逆さまに落ちる。隊長が討たれた、フランス軍はひるんだが、すっくとジャンヌは立ち上がり、「私は大丈夫です。はやく正門に向かいなさい」。肩先に刺さった矢を抜き、傷口にメンソレータムを塗りバンドエイドを貼ると、また梯子を上りはじめる。こうしてジャンヌに勇気づけられたフランス軍は、第11の砦も攻略することが出来たのであった。
 以後の戦いもフランス軍は連戦連勝。無事にフランスの独立を保つことができたのであった。




参考口演:神田陽菜

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