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『赤穂義士伝 大石東下り』あらすじ

(あこうぎしでん おおいしあずまくだり)



【解説】
 吉良上野介を討つべく、いよいよ大石内蔵助は江戸へと向かうことになった。万が一にも吉良方にこの事を知られてはならないと、偽の道中手形を造り、近衛関白家の雑掌、垣見左内と偽って京都・山科を出立する。ところが神奈川宿の本陣に宿泊すると、そこには本物の垣見左内が滞在していた…。

【あらすじ】
 大石内蔵助(くらのすけ)は京の祇園・島原で遊び呆けるふりをしながら、主君、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の仇を討つべく江戸へ入る機会を伺っている。年明けには吉良上野介(きらこうずけのすけ)は米沢・上杉家へ向かうとの知らせを受ける。そうなってしまっては屋敷への討入りは難しくなる。仇討をするなら年内である。いよいよ内蔵助は江戸へと下向することになった。万万が一にも吉良方にこの事を知られてはならないと、偽の道中手形を造り、近衛関白家の雑掌(ざっしょう)垣見左内と名乗って、倅の主税(ちから)、勝田新左衛門、赤垣源蔵、矢頭右衛門七、武林唯七(ただしち)、矢田五郎右衛門とともに山科を出立する。
 無事、箱根の関所も通過し小田原、平塚、戸塚、程ヶ谷と過ぎ、明日はいよいよ江戸入りするという所まで来る。神奈川の宿を越え生麦の辺りで、武林唯七と人足頭である弥十という男が酒を一杯飲ませろ飲ませないで争いになる。弥十は武林に蹴り倒されるとその身体がピクリとも動かなくなってしまう。宿役人がやってきて弥十を調べると、彼は死んでしまっていると言う。弥十には残された家族がいるというので、大石は50両という金を与えて内々に済まそうとする。確認のため弥十の姿を見るが、実は弥十は死んではいなかった。金目当てで死んだふりをしているのだ。大石は「死骸」を試し斬りにすると言って刀を振り上げると、慌てて弥十は逃げ出してしまう。
 金をだまし取ろうした弥十と宿役人を問い質すため、川崎宿へ泊る予定だった大石らは急遽、神奈川宿の本陣へと向かう。しかしこの本陣には本物の近衛関白家の雑掌、垣見左内が病気のため滞在しており、今その病も治ったところだった。果たしてどちらが本物なのか偽物なのか。先に泊まっていた本物の垣見左内に、同じ役職で同じ名を名乗る人物がこの宿に宿泊していると知らされる。一方、夕食と風呂とを済ませたところで本物の垣見左内がこの宿にいることを武林が大石に伝える。
 本物の垣見左内は大石のいる部屋へと入りこむ。相手は堂々とした立派な人物で人の名を騙るような者だとは思えない。どちらが本物か言い争いになり、それを見ていた宿の者たちは戸惑うばかりである。大石が近衛関白家の直筆であると言って本物の垣見左内に見せたのは、「播州赤穂城代家老、大石内蔵助。行年四十五歳」と書かれた奉書であった。垣見左内は全てを悟った。大石とその一行は浅野内匠頭の仇である吉良上野介を討つため江戸へ向かっており、本懐を遂げた後は死ぬ覚悟なのだ。その事を知られてはならぬと偽名を使っているのだ。垣見左内は自分が偽物であると、大石の前で平伏する。宿の者たちが納得して部屋を去ると、大石は勝手に名を使っていた事とこの場での無礼を詫び、垣見左内に仇討の所存を打ち明ける。垣見左内は大石らの武運を祈って京へと上り、大石ら一行は江戸へと向かうのであった。




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