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『赤穂義士伝〜二度目の清書』あらすじ

(あこうぎしでん〜にどめのきよがき)



【解説】
 大石内蔵助は仇討の大望を隠すため、毎日廓に通い女人や酒色に溺れるふりをする。この度茶屋町の太夫を身請けしたが、太夫をこの家に住まわせると言う。内蔵助の妻であるお石は怒り、離縁を申し出る。家を出る決心をし、母親、二人に幼い子供と一緒に実家である播磨国豊岡へと旅立った。すると内蔵助は何やら文を認める。これをお石の父親である豊岡の石束源五兵衛に届けて欲しいと寺坂吉右衛門に託す。さらに「心中よしなにご賢察を」という口上を添えるよう申し付ける。これを見て源五兵衛は内蔵助の意図を悟る…。

【あらすじ】
 主君浅野内匠頭(たくみのかみ)の無念を晴らすため仇である吉良上野介(きらこうずけのすけ)を討つとの大願を抱いた大石内蔵助(くらのすけ)。企てを成功させるためには吉良家にこの意図を知られてはならない。敵を欺くにはまず味方からと内蔵助は周囲の者たちに愚人を装う。日ごと廓に通い女人と酒色に溺れる。
 今日も酩酊し我が家に戻り、高いびきで寝ている。酔いが醒めぬまま朝を迎え、妻のお石に起こされた。お石は毎夜酒浸りになっていること、また茶屋町の太夫を身請けしたことを諫め、年老いた母親や幼い子供たちのためにも身持ちを改めて欲しいと請う。しかし内蔵助は身請けした太夫をこの家に住まわせ、太夫を姉に、お石を妹にすればうまくいくだろうなどと、とぼけた事を言う。この言葉に武士の娘であるお石は怒り、離縁を申し出る。内蔵助はスラスラと三行半を書く。お石はワッと泣き伏せる。内蔵助の母親もこのやり取りを聞いており、今度は母親が離縁したいと申し出た。お石は母親に一緒に実家である播磨国豊岡の石束の家に参りましょうと言う。母親もこれに応ずる。幼い子供、吉千代と大三郎も母様、婆様に付いて行きたいと言う。妻、母親、二人に幼い子供は駕籠で豊岡へと旅立った。
 内蔵助は何やら文をしたためる。これをお石の父親である豊岡の石束源五兵衛の元へ、妻らの乗った駕籠より先に届けて欲しいと足軽の寺坂吉右衛門に託し、さらに「心中よしなにご賢察を」という口上を添えるよう申し付ける。
 文は源五兵衛の元に届いた。妻と母親とを離縁したことが書かれ、さらに寺坂から「心中よしなにご賢察を」という口上を聞く。同じ武士である源五兵衛はこれで全てを悟った。「お石と母親はしっかりと預かるので安堵するように」と内蔵助に伝えてくれと源五兵衛は言う。
 元禄十四年十二月十四日、大石内蔵助をはじめとする四十七士は吉良上野介の屋敷に討ち入り、吉良の首を討ち取って本懐を遂げた。亡き主君への報告のため泉岳寺へと向かう途中、内蔵助は寺坂に浪士の身内たちに仇討の次第を伝えるよう頼む。
 内蔵助から文を預かり、寺坂はまず豊岡の石束の家に向かう。文はお石・母親との離縁を伝えて以来であるのでこれを二度目の清書(きよがき)という。ついに吉良の首を討ち取り仇討本懐を遂げたことを知る者たち。お石と母親は、内蔵助の本心を知らなかったことを恥じ、また悲しみ泣く。寺坂は口上を述べ、討ち入りの模様を詳細に語る。妻や母親までを欺き、宿願が叶ったことを一同のものは知るのであった。




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