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『柳生二蓋笠(やぎゅうにかいかさ)』あらすじ




 将軍様に剣道のご指南をしていたのが柳生但馬守宗矩(むねのり)。この宗矩の三男が又十郎。又十郎は後年柳生の家を相続して柳生飛騨守宗冬となる。青年の頃は遊び好きで毎日酒色三昧。父、但馬守の怒りを買い勘当を申し付けられる。目が覚めた又十郎は修行を志し、出羽国上戸沢の山中で剣の道を学ぶ。
 七年の間に父に勝る腕前となった又十郎は師の許しを得、江戸の町へ戻る。いきなり勘当された但馬の家へ戻るわけにはいかないのでやって来たのが神田駿河台錦小路、叔父にあたる天下のご意見番、大久保彦左衛門忠教の屋敷。彦左衛門はその七年間の修練の賜物を見せてくれと言う。又十郎は鳥かごの中の鳥を放ち、気合を掛けて一声発すると鳥は大地へ落ちた。鳥を鳥かごに戻し再び一声を発すると、鳥は何事もなかったようにさえずり始める。彦十郎も感心した。
 又十郎は顔一面髭だらけなので但馬守も即座には勘当した息子だとは気付かないであろう。九州の山中の山男と偽って彦左衛門と二人で木挽町の但馬の道場を訪ねる。但馬守は山男と偽った又十郎との試合を引き受けるが、武具に真槍(しんそう)を使うと言い、彦左衛門が驚いた。彦左衛門が又十郎にどうするか聴くと、勘当されたとはいえ槍を親に向けることはできない。柳生家の定紋の付いた二蓋の笠を借り、一蓋の笠で父の突く槍を払い、もう一蓋の笠を父の頭に乗せたならば自分の勝ちとしてくださいという。
 試合は見事、笠で但馬守の槍を払い、頭に笠を乗せ、又十郎が勝った。但馬守は「勘当は許す」と言い、又十郎は涙を流して平伏した。但馬守はこの山男と偽った男が又十郎であると承知していた。ならばどうして真槍を使っての試合をしたのか彦左衛門が尋ねると、自分の槍で負けるような未熟な息子であるならば倒してしまい、この柳生の家も一代限りで取り潰してしまった方が良い。このように立派な腕前となって戻ってきてくれたのだから、今日限りで自分は隠居し、家督を息子、又十郎に譲ると言う。
 彦左衛門は千代田の城に登城し事情を話すと将軍も承諾し、将軍家御指南役を又十郎が務めることになった。柳生飛騨守宗冬の名乗り、また誰言うとなく、彼の事を「柳生の小天狗」と呼ばれるようになった。
「面取れば親子なりけり寒稽古 負けて喜ぶ親子の試合」




参考口演:一龍斎貞山

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