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『真柄のお秀』あらすじ

(まがらのおひで)



【解説】
 越前一乗谷の城主、朝倉弾正の家臣の真柄刑部は、戦場ではまるで役に立たない優男。せめて自分の倅は豪傑にしたいと丈夫な嫁を探している。ある日のこと、峠の宿に泊まるとお秀という身の丈六尺、幅も六尺ある大女がいる。目の前に積まれた米俵の山をあっという間に放り投げ、薪は膝小僧で割ってしまう。刑部は気まぐれを起こしお秀に求婚する。お秀はすっかりその気になり化粧をするが、その姿はまるで化物である。とんでもないことをしてしまったと、刑部は宿を逃げ出し一乗谷の城下に戻る。しかしもう嫁になる気で満々のお秀が追いかけてくる…。

【あらすじ】
 越前一乗谷の城主、朝倉弾正の家臣の真柄刑部(まがらぎょうぶ)というお方、文才は優れていたが戦場ではまるで役に立たないという優男。25歳の独り身で、せめて自分の倅は豪傑にしたいと身体の丈夫な嫁を探していた。
 ある日主人の代参の帰り、峠の宿場で伊勢屋という宿に泊まった。宿屋の主人の「力仕事は男では駄目だ」という声が聞こえる。見ると出てきた身の丈六尺、幅も六尺という大女。目の前には米俵の山。俵を左右の手に一俵ずつ持ち次々に物置に投げ込みあっという間に片づけてしまう。刑部が風呂に入っていると、その女は薪の2、3本をまとめて膝小僧で割ってしまった。女はお秀という。刑部はこんな力持ちの女を嫁にすれば、さぞ丈夫な子を産んでくれるだろうと気まぐれを起こし、お秀に求婚する。お秀は十八歳というお年頃である。美しい顔立ちの刑部にプロポーズされ、さらに夜の床に招かれ、すっかりその気になってしまう。刑部のお供の文助はまた旦那の悪い癖が始まったと思う。お秀は生まれて初めての化粧をするが、その姿はまるで化物である。階段をそっと昇り、刑部の寝間に入る。目が覚め驚いた刑部。なんとかお秀を言いくるめて、部屋を離れてもらう。刑部は文助と相談し、夜が明けるとすぐに宿屋を出立する。宿に残った文助は、自分は一日限りのお供なので刑部の事はなにも知らないとシラをきるが、お秀の身体攻めに耐え兼ね、刑部の素性をすべて白状してしまう。
 それからしばらくして、一乗谷の刑部の屋敷をお秀が訪ねてきた。すっかり荷物を整え嫁入りにきたつもりであった。刑部は城に出かけていて留守だった。お秀が掃除している隙をみて、文助は屋敷をそっと抜け出し、お秀が来た旨を城にいる刑部に伝える。刑部はお秀から逃れるため知り合いの家を泊まってまわり屋敷には何日も帰らない。さすがのお秀も騙されたと気づくがどうにも刑部を諦められない。
 お秀は朝倉弾正が鷹狩に出るという情報を得る。その帰りの行列の前に、松の木の陰に隠れていたお秀は飛び出し、刑部の件を弾正に直に訴える。これは面白い女と興に乗った弾正。列の後方にいた刑部を呼びつけ、お秀と夫婦になるよう申し付ける。主人のいうことなので逆らうことは出来ない。二人は祝言を挙げ、真柄のノミの夫婦と呼ばれるようになる。お秀は大変な貞女である。二人の愛情は深まり、刑部もお秀を寵愛する。やがてお秀は懐妊、元気な男の子を産む。後にこの男の子は真柄十左衛門直澄「越前の赤鬼」と呼ばれる豪傑になり、元亀元年六月二十八日、姉川の戦いにて、徳川四天王の一人本多平八郎忠勝と壮絶な一騎打ちの勝負に臨むのであった。




参考口演:一龍斎貞寿

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