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『隅田川乗っ切り』あらすじ

(すみだがわのっきり)


【解説】
 剣術の試合で将軍・家光に本気で挑み勝ってしまった阿部善四郎。それ以来、家光からの不興を買い、相手にもしてくれない。ある日、家光が家来を引き連れ隅田川まで行くと、大雨続きで激流と化している。馬に乗った阿部善四郎とその家来がこの隅田川を渡ろうとする…。
 この隅田川を渡るシーンを講釈師が雄々しく勇ましく読む部分が、この読物の聞かせ所になる。

【あらすじ】
 寛永3年正月7日の日。江戸城では道場開きで、将軍家光は旗本相手に木剣でもって対戦をする。旗本たちは将軍に対して本気で挑むわけにはいかず、次々と退散してしまい家光は上機嫌。その中で阿部善四郎忠秋だけはわざと負けるような真似はせず、家光を追い込み胴を打ち込む。身体を痛めた家光はその場を去るが、以後善四郎には口を利かなくなる。
 9月9日、重陽の節句の日の宴で、家光は旗本たちを集め詩歌を短冊に書かせる。最も優れた歌が善四郎の詠んだものだと分かると、家光は短冊を放り投げ座敷を出て行ってしまう。殿のご機嫌を損じてしまった善四郎は切腹しようとするが、大久保彦左衛門がこれを押し留める。
 翌年4月のこと。大雨が続き濁流の隅田川はまさに溢れんばかりである。家来を引き連れて訪れた家光は馬で川を横切ろうとするが、周りの者がこれを制止する。すると一人の男が馬に乗ってこの激流の中に飛び込み、さらにもう一人の男がやはり馬でもって彼に続く。この男こそ阿部善四郎とその郎党の平田団右衛門であった。流れて来る木材を避けながら2人は対岸へと渡り、さらに再び川の中に飛び込んで一行のいる側の岸に戻る。家光は善四郎の手を握りながらこれまでの自分のつれない態度を詫びる。彦左衛門の機転もあって善四郎は十万石の加増になり、やがては若年寄、老中となって長く徳川家のために尽くしたという。




参考口演:神田すず

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