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『蘇生奇談(蘇生の五兵衛)』あらすじ

(そせいきだん・そせいのごへえ)



【解説】
 講談には珍しく、脈絡もなくあれよあれよと話が展開し、まるで西洋の寓話のようである。宇都宮の五兵衛という植木屋の話。最初は塩せんべえ50枚を勧められ、大喰らいの五兵衛はすべて食べてしまう。次には鍋八分目の汁粉を勧められて全部食べつくし、その次には酒を1升2合の酒を勧められる。これも全部飲み干すが、フラフラ、クラクラの状態の五兵衛は家の敷居に胸をぶつけ死んでしまう…。

【あらすじ】
 明治中頃の話。宇都宮新家の造り酒屋の池辺さんのお宅で庭の垣根が壊れ植木屋さんを頼む。やってきたのが五兵衛という男。仕事が済むと家の主人から塩せんべいを勧められる。主人はこの厚焼きの塩せんべい50枚を食べられたら50銭やろうと言う。大喰らいの五兵衛はこれをすべて食べてしまい50銭の金を貰う。翌日また五兵衛が来る。今度は鍋八分目の汁粉全部を全部食べられたら50銭をあげようと家の主人は言う。五兵衛はやはりあっという間に平らげ50銭の金を得た。
 また翌日、今度は家の主人は焼酎を1升2合飲めたら1円やろうという。五兵衛はすべて飲み干す。1円を貰ったもののすっかり酔ってしまった五兵衛。足はフラフラ、頭はクラクラの状態で家へ帰る。女房に手を引かれ部屋に入る時、つまずいて胸を敷居の出っ張りに強打。五兵衛はそのまま死んでしまった。早桶に入れられ寺の墓地に葬られる。葬式に参列した7〜8人の男たちは湯灌場でバクチを始める。何がきっかけか棺桶の中の五兵衛は生き返り棺桶から出る。湯灌場の戸を開けると「化けて出た!」と中の者全員が逃げ出してしまった。
 五兵衛は置いてあった金をすべて集め、寺の裏側から逃げ出そうとする。そこで一人の巡査と出くわした。不審な人物と疑う巡査であったが、五兵衛の事を知っており彼だと分かる。五兵衛から詳しい事情を聴く巡査。わずかな金のために命を粗末にしてはならないと諭す。2人は五兵衛の自宅の前まで来ると、女房が一人でいるはずの家から何故か話し声が聞こえる。そっと中を見ると女房と枕を並べて若い男が寝ていた。「帰って来たよ」と家の中に入る五兵衛。2人は五兵衛が化けて出てきたものだと腰を抜かす。「どうぞ浮かんでおくれ」。巡査の入れ知恵で、五兵衛は化けて出て来たふりをして、間男をしていた男の名前と住所を聞き出す。これが証拠となって2人は姦通罪で警察に捕らえられた。五兵衛は暴飲暴食を止め、後は慎ましく暮らすのであった。





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