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『笹野名槍伝〜海賊退治』あらすじ

(ささのめいそうでん〜かいぞくたいじ)



【解説】
 仇討の連続物『笹野名槍伝』(『笹野権三郎』とも)のうちで、この「海賊退治」の部分が、独立してしばしば掛かる。この部分では仇討とはまったく関係ない。

【あらすじ】
 上州・高崎に仇である種田五郎左衛門がいると分かった笹野権三郎であるが、すんでのところで逃げられてしまった。どこへ行ってしまったのか全くわからず行く当てもない。いっそのこと思いっきり遠くまで行ってしまおう。権三郎は九州に向かう船、風早丸に乗り込む。乗り合わせた者たちはたちまち仲良くなり、語り合ったり、歌を歌ったり、将棋をしたりしている。権三郎は一人静かに絵草紙を読んでいる。船内にはもう一人、色黒で大きな侍がいる。彼が話すには、日向国・延岡の出身で年は32、武芸修行の旅で日本各地を回っているという。
 数日経ち、船は瀬戸内海へと入る。月の輝く夜中、旅人たちは船内で寝ている。そこで水先案内人が辺りを伺っていると、エッサエッサと小船を漕ぎ寄せる声が聞こえる。船は5隻でみるみるうちに、この船へと近づいてくる。海賊だ。寝ている者たちを叩き起こす。この船には3000両という金を積んである。金さえ出せば、命ばかりは助かるであろうか。あの侍に働いてもらおう。町人たちは海賊が出たと言って色の黒い侍を起こす。
 小船は風早丸を取り囲み、縄を掛けて海賊どもがよじ登ってくる。船に3000両が積んであることを知っていた海賊は、その金を出せと迫る。そこへ色の黒い侍、斎藤文藤太が斬りかかり、チャリンチャリンとやり合うが、海賊は大勢、文太は圧倒的に不利である。そこへ笹野権三郎が助けに入る。これがあまりに強く、次々と海賊どもを斬り倒してしまう。
 今度は海賊の頭領、西海灘右衛門(さいかいなだえもん)が風早丸に乗り込んだ。権三郎の振り下ろす刀をヒラリヒラリとかわす。やがて灘右衛門は肩からザクリと斬られ、海の中へドブンと逃げる。子分たちも次々と海へと飛び込む。これを追って権三郎も海の中へとドブンと飛び込む。小島へ向かって泳ぐ灘右衛門を、権三郎は追う。権三郎は灘右衛門に追いつき、二人もろとも海底に沈む。しばらく二人は浮かんでこない。船の上の者たちは、一心に様子を伺っている。やがて水中から権三郎の顔が現れた。傍らに灘右衛門の首を抱えている。船上からは歓声があがるのであった。




参考口演:神田すず

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