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『小猿七之助〜永代橋』あらすじ

(こざるしちのすけ〜えいたいばし)


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【解説】
 『小猿七之助』は世話物の連続講談だが、この「一人船頭・一人芸者」の部分が独立してよく演じられる。
 大川に浮かぶ船で、船頭の七之助が1人、芸者のお滝が1人、2人きりとなる。船のなかでの間違いを避けるため、「一人船頭・一人芸者」というのは厳しく禁じられている。永代の橋をくぐったところで「ドブン」と音がする。男の身投げで、七之助はこの者を助ける。七之助は彼から事情を聴くが、するとまたこの男を川の中へ突き落としてしまう…。

【あらすじ】
 江戸時代、文化・文政の頃の話。大川(隅田川)には数多くの船宿があったが、船宿のご法度として一人船頭・一人芸者は固く禁じられていた。船の中での間違いを避けるための定式(きめしき)である。ところがその晩、山谷堀から乗って来た客は4人、芸者が1人。鉄砲洲の稲荷河岸でお客が揚がると、船内は船頭1人、芸者1人になる。櫓柄を取っているのは吾妻橋の船宿、遠州屋の抱えで七之助、すばしこいので小猿というあだ名がある。芸者は男嫌いで通っている浅草広小路の滝野屋のお滝。パラリと降った雨も止んだ。
 永代の橋をくぐったところで、「南無阿弥陀仏」という男の声がしドブンと飛び込む音が聞こえる。船上に助け上げると24〜25歳のどこかのお店の者のようで、喝を入れると男は息を吹き返した。聴くとこの男は新川新堀の酒問屋・田島の若い者で名は幸吉だという。店の遣いで70両という金を集め、高輪から永代まで船に乗ったが、その中での腰掛バクチでその70両をそっくり取られてしまった。このバクチはイカサマだと船頭から知らされ、船から揚がったイカサマ師に金を返してくれと迫ったところ逆に眉間を殴られてしまう。悔しさのあまり、その男の片袖を引きちぎって永代橋から身を投げた、こう言う。その相手の男は名代のイカサマ師で深川・相川町の網打ち、七蔵であるという。「七蔵」という名を聞いて七之助の顔が変わった。その七蔵こそ七之助の父親である。10年も前、バクチで偽の金を掴まされて、その罪を七之助が被ったことがあった。それでバクチはよしてくれると思っていたが、今になっても止められない。幸吉に濡れた着物を脱ぐよう言い付け、立ち上がったところで七之助は船をわざと傾けると、よろけた幸吉は川へ落ちた。「なんか知らないけれどまた飛び込んでしまいました」ととぼける七之助。
 船を元の方向へ戻し、また永代の下をくぐる。「私は辰巳の方へ帰るんだよ」とお滝はいう。大粒の雨が降り出す。七之助は匕首を懐から取り出す。七蔵というイカサマ師が自分の父親であることを明かし、父親を助けるために一度は助けた幸吉を殺した、これを知られたら自分の命はない、知ってしまったお滝は殺しかないと言う。ここにきて実はお滝は七之助に恋心があることを告げ、七之助も本心では女房を持つならばお滝のような女を望んでいたと言う。こうして2人は深い仲になるのだが、この先の話はいつの日か。





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