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『大瀬半五郎〈清水次郎長伝〉』あらすじ

(おおせはんごろう)



【解説】
 広沢虎造などの浪曲としても有名。『大瀬の半五郎』は現在の八王子市の生まれの侠客であり、清水次郎長配下の「清水二十八人衆」のひとりに数えられる。本名は鈴木綱五郎であり別名で関東綱五郎、大瀬の半五郎とも呼ばれている。鈴木綱五郎と大瀬の半五郎を同一人物とするのには異説もある。
 武州・草加を拠点とする兄弟のバクチ打ち、又五郎と半五郎。伊草の菊蔵をズタズタに斬って兄弟の名は上がる。弟、半五郎が上州へバクチへ行っている折、兄の又五郎が殺されたとの知らせを受ける。殺したのは上総屋五蔵、そして手引きをしたのは又五郎の情婦であるお染だという…。

【あらすじ】
 武州・草加に又五郎と半五郎という兄弟のバクチ打ちがいる。土地の親分、伊草の菊蔵と女の一件から争いになり、2人してズタズタに斬り33ヶ所の傷を負わせる。仲裁があって両者は五分と五分の手打ちになって、兄弟の名は上がる。
 ある日のこと、弟の半五郎は上州にバクチを打ちに行っている時に、兄の又五郎が殺されたことを知る。殺したは上総屋五蔵という目明し、手引きしたのは五蔵の女で八幡屋で板頭を張っている女郎のお染であると聞かされる。上総屋五蔵は兄弟の父親の力で目明しになった者であり、またお染という女は又五郎の情婦である。そのお染が又五郎を裏切ったのか。兄貴の仇を討たなければならないと半五郎は草加の宿に戻る。
 安政元年8月の16日、その日、草加の宿は朝からザーザー雨が降り、夜には嵐になる。人っ子ひとり歩いていない。その晩、半五郎は八幡屋の中に入り込み、庭の植え込みの陰に身を隠している。半時ばかり待つが雨で身体が冷え、寒さでブルブルと震える。しばらくして厠を出て廊下を歩いているのはお染。「ひどい振りだねぇ。うるさくて寝られやしない」と独り言を言う。植え込みの中に姿を隠していた半五郎は立ち上がり、いきなりお染を左肩からあばらにかけて斬りつける。息も絶え絶えのお染は、五蔵を手引きしたのは自分ではなく、遣り手婆さんのお鉄である。自分もカミソリで喉を切って又五郎の後を追おうと思ったが、周囲の者たちから、弟の半五郎さんにだけは本当のことを話さなければならないと諭され今日まで生き延びてきた。こう言い残し事切れる。「姉さん、勘弁してくれ」と半五郎は涙する。
 半五郎はお鉄の部屋に入り込み、斬り殺そうとするが、どうせならさんざん苦しませてから死んでもらおうと、グラグラ煮えたぎっているお湯を寝ているお鉄の口の中に注ぎ込む。さらに口の中に長脇差を刺し、お鉄の首を斬り落とす。
 お染とお鉄の首を担いで半五郎は女郎屋を出る。この後、上総屋五蔵の首も取った。3人も殺してしまってはまずいと、半五郎は伝手あって清水次郎長の元に厄介になることになり、四天王のうちの一人として男を売り出す。




参考口演:宝井琴柳

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