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『大岡政談 しばられ地蔵(おおおかせいだん しばられじぞう)』あらすじ




 享保年間の話。日本橋本町一丁目の木綿問屋、山形屋はたいそう繁盛し、百人という奉公人を抱えている。主の名は源左衛門。「おはま」という18歳になる美しい娘がいる。「日本橋小町」とも呼ばれ気立ての良いおはまには婿になりたいという者が山のようにいるが、おはまには思いつめている男がいる。子供のころから店で奉公している20歳になる喜之助という真面目な男であった。喜之助もまたおはまのことを想っているのだが、店の主人の娘と奉公人では、身分の違い故一緒になることは出来ない。
 今ひとり、おはまにぞっこんの男がいる。一番番頭で又兵衛という61歳の男で色の黒いブ男。喜之助さえいなかったらと、山形屋から追い出そうと考えている。
 ある日のこと、本所柳島の旗本・伊丹様から「さらし」55反の注文を受ける。喜之助はこれを届けに、風呂敷に包んで日本橋の店を出、業平橋で一休みしようとする。因果地蔵尊の石仏の傍らに風呂敷包みを置き、休んでいる間に居眠りしてしまった。気が付くともう辺りは薄暗くなっている。ひょいと見ると風呂敷包が無くなっている。誰かに盗まれたか。戻った喜之助だが盗まれたとは言いにくく店前をウロウロしていると、又兵衛に呼び止められた。さらしを盗まれた旨を話すが、これを聞いて又兵衛は「しめた」と思う。盗まれたという喜之助の話を聞き入れず、お前がどこかの女に入れ込んで金に困り、さらしを売って金に換えたのだろうと責め立てる。これを傍らから聞いていたおはまが間に入り喜之助をかばうが、又兵衛にはこれがまた面白くない。喜之助は暇を出されて店を出る。
 自分が盗んだことにされてしまったが、本当の泥棒を見つけて貰いたい。喜之助は奉行所に訴え出る。これをお取り上げになったのが南町奉行・大岡越前。人相を見るのが得意な越前。喜之助の顔を見るが嘘偽りを言うような人間ではない。
 越前は「因果地蔵を召し捕れ」という。下役たちは本所業平橋まで赴いて因果地蔵を荒縄でがんじがらめに縛り、江戸の町内を引き回す。それを見て物見高い江戸っ子たちは面白半分で付いて行く。南町奉行の前には野次馬がたくさん集まる。越前は彼らにお白洲の中に入ることを許すと、何百人という人だかりでいっぱいになる。
 お白洲に置かれた因果地蔵へのお裁きが始まった。何を言われても喋りもしないし、身動きひとつしない地蔵を前に、越前が本気になってあれこれ語りかけるので、これを見ていた者たちはおかしくて笑う。越前はお上を嘲弄するとはけしからんと、見物していた者たち一人一人に科料を申し付けた。白布に住所と名前を書いて奉行所に差し出せと言う。こうして何百というさらしが集まった。これは越前の策略であった。喜之助からさらしを盗んだ者は、それをどこかに売るだろう。こうして方々から取り寄せたさらしを調べて、もし山形屋の物があれば入手経路をたどって犯人が見つかるだろう。
 集まったさらしを一反一反調べて行くと、「入り山形に源」の紋がある山形屋の商品が見つかった。これには八丁堀の大工、熊五郎の名前が書いてある。熊五郎を呼んで問いただすとこれは伝馬町の榊屋で買ったものだという。榊屋の主人に尋ねると先日、本所小梅の御家人、一刀又郎が55反のさらしを売りに来たのでこれを買ったという。一刀又郎を取り調べると、業平橋でさらし55反の入った風呂敷包みを盗んだことを白状した。喜之助の無実も証明された。喜之助は山形屋の店に戻ることができた。
 越前の仲立ちで、喜之助は山形屋の婿になり「おはま」と夫婦になる。2人は仲睦まじく暮らす。「お調べ」になった、いや「お縛り」になったお地蔵さまは今では葛飾区金町の南蔵院に安置され、参拝する人が絶えないという。





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